
本学会について
【設立の目的】
本学会の目的は、「文化」「地域」「デザイン」に関する研究の交流と融合により、新たな「知」の地平を開拓することである。具体的には、多角的な視野から地域の文化のありようを見つめ、観光、まちづくり、国際交流、福祉、教育、産業、環境などとの関係を考えるために、調査・研究を一層深めることにする。
単に複数のディシプリン(学問)を学際的に融合しようというのではなく、「超学際」(トランスディシプリナリティ)の考え方をもとに、人文科学・社会科学・自然科学など広い範囲の融合と深化を図る。研究者が「研究」するだけでなく、市民(あるいはこれまでは研究される側だった人たち)も「研究」する。難しい課題は、「地域総ぐるみ」になって臨むという姿勢を大切にしたい。研究と実践実務との連携協働を目指すところに、本学会の特色がある。
多彩な人材の「プラットホーム」づくりを目指すため、大学教員らの職業研究者、公務員、財団職員、会社員、観光従事者、まちづくり関係者、福祉施設職員、教育者、農家、エコロジスト、地域の経済人(事業者)、大学生・院生などの多様な人々が集う場を構築する。
多彩な方々の集まりを得て、「文化×地域×デザイン」の理論化に挑みたい。
現代日本を取り巻く環境が激しく変動するなか、文化芸術基本法の制定(2017)、文化財保護法の改正(2018)、文化観光推進法(2020)などを契機に、文化を活かした地域デザインの理論と実践方法の構築が急がれている。しかし、既存の学会活動は縦割りであり、各関連分野を横断する枠組みや場の構築に注力するべく、学会を構想することにした。
同時に、従来のアカデミアやその研究学会が学術的純化傾向に陥りやすい弊害を打破するため、会員制度やジャーナルの発行に関して工夫を凝らし、「会費無料」制を採用。「新しいタイプ」の学会づくりに挑み、一石を投じる。加えて実践実務との連携協働を進めるため、総合的な政策提言を試みるとともに、合わせて研究会や講演会の開催などの文化事業に取り組むこととしたい。
【設立の背景】
経済と社会の関係は、バブル経済崩壊後の30年間ずっと「失われたまま」だった。経済は上向かず、いっそう東京一極集中が進んだ。この間、雇用対策、子育て支援、少子高齢化対策、過疎問題などの各論による対策は行われたものの、地域文化の中で、大きな視野で組み立てていく試みはほとんどなかった。地方創生の争点はいくつもあったが、30年間で重視されなかったのは「地域と文化芸術の関わり」だったのではないか。
自分たちがどのように地域で暮らし続けるのか? を考えることを原点に据える必要がある。日々の生業のなかで、いかにして家族を作り、地域を活性化していくのか? の原点に戻らない限り、各論の対策の中では対応しきれないと思われる。
東日本大震災、あるいは近年のコロナ禍を経験して、社会全体が閉塞的状況にある。この中で、地域文化への注目は一層増している。
従来型の公共サービスの限界が見える現代社会において、未来への展望を切り開く可能性を秘めるのは、地域の文化芸術である。「地域社会をつくり直す」、あるいは「社会を創造的に破壊する」ためのチャンスは、地域における文化芸術の活かし方にこそあると考えている。これまであまり注目されてこなかった地域における文化芸術の振興、再評価が、「社会をつくり直す道」に近づく。
地域社会をクリエイティブにする文化芸術活動は、住民の誇り形成、アイデンティティ形成につながる。新しい産業の勃興、福祉や教育の充実にも貢献する。若い人たちが今、田舎暮らしに憧れ、農漁村への移住を始めているのはなぜなのか? 本来持っていた「地域の価値」に改めて気づいたからではないか。
地域における新たな文化芸術の活動や取り組みは、地域を一体化し、地域自治にも貢献する。これらの取り組みこそが「デザイン化」と呼ぶことができよう。住民たちが自ら、日々の暮らしをデザインすることが求められる。「地域の価値」とは、単に「自然が豊か」にとどまらず、人々の暮らしの中の文化芸術あるいは生活文化に価値を見いだすことなのだ。そして住民たち自らが地域社会の経営を「デザイン」(構想、制度設計)する参画が求められるであろう。
地域自体はある種、完結した世界なのだが、文化芸術を通じて、「地域から日本各地へ」、あるいは「世界へ」と全方位でつながることができれば、地域社会は刷新される。
だからこそ、今、新たな「文化×地域×デザイン」の試みの理論化が急がれ、同時に、実践の事例を各地で探し求める研究が欠かせないと思うのだ。
組織
【所在地】
〒554-0012 大阪市此花区西九条5-3-10 「本のある工場」(JR大阪環状線・西九条駅徒歩7~8分)
【事務局】
「本のある工場」に本拠を置く。
領域横断的な非営利研究団体である同研究所(代表:松本茂章)(2018年設立)が本学会の事務局機能を担う。
【事業】
本学会は、先に掲げた目的を達成するため、次の事業を行う。
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文化を活かした次世代の地域デザインに関する調査研究の推進
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文化を活かした次世代の地域デザイン研究に資するための集会や催事等の企画、運営、制作
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次世代を担う青少年やシニア世代の学習及び交流を促進するための政策立案や事業実施
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自治体・企業・団体等から委託された研究調査や講師派遣活動
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自治体・企業・団体等の事業に対する助言・評価活動
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文化施設の設置運営及び文化政策に関する助言並びに提言
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ホームページ作成、学会誌の発行、書籍出版、書籍出版支援などの情報発信活動
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その他、本学会の目的を達成するために必要な事業
【役員等】(50音順)
◆共同代表
新川達郎(同志社大学名誉教授/行政学、公共政策論、地方自治論、NPO論、市民参加論など)
松本茂章(文化と地域デザイン研究所代表)(理事長兼務)(文化政策、文化と地域デザイン論)
◆理事
岸正人(公益社団法人全国公立文化施設協会=東京=専務理事)(豊島区立舞台芸術交流センター元支配人)
高島知佐子(公立大学法人静岡文化芸術大学教授/経営学)(文化と地域デザイン研究所理事)
松本麻未(事務局長)(公立大学職員)(文化と地域デザイン研究所事務局。浜松市文化振興財団元職員)
松本茂章(日本アートマネジメント学会会長、法政大学特任研究員。23年4月から大阪音楽大学特任教授)
南博史(京都外国語大学教授/考古学、博物館学)(京都府京都文化博物館学芸員出身)
◆相談役
中川幾郎(帝塚山大学名誉教授)(日本文化政策学会初代会長)
藤野一夫(芸術文化観光専門職大学副学長/神戸大学名誉教授/日本文化政策学会4代目会長)
◆事務局
岡本唯(文化と地域デザイン研究所事務局)(大阪市開発公社職員/船場センタービル勤務)
中村まい(文化と地域デザイン研究所事務局)(お茶の水女子大学博士課程在籍/元帝京大学非常勤講師)
◆学会誌編集
宮治磨里(文化と地域デザイン研究所研究員)(愛知県知立市文化会館元職員)(文化施設に関する共著を出版)
◆学生部門
「文化政策・アートマネジメント学生会議」(2022年5月に発足)
(大阪大学、神戸大学、大阪公立大学、同志社大学、立命館大学などの大学院生・学部生らで構成)
◇役員等改選
任期3年。再選を妨げない。
特色
組織
【全国どこにもない「脱大学」の学会】
「新しいタイプ」の学会づくりを試みる。
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多様な人々で構成する。職業研究者(大学教員ら)ばかりで固まらない。
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年会費を無料とする。(徴収事務に相当の作業が伴うので集めない。研究会の参加費などで資金をつくる)
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大阪都心部に位置して、交通の便の良い元印刷工場を本拠地に選び、研究大会・例会の会場を固定する。
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学会誌の作成作業を簡素化する。(PDFファイルのみ。毎年発行とは限らない)
【多様な研究者や実践実務家と知り合う】
本学会入会の効用の1つは、研究領域を超えて交流と研鑽を重ね、刺激しあえる友人・知人をつくることである。文化×地域×デザインの研究も、人々とのネットワークが欠かせないうえ、研究者と実践実務家との連携協働なくしては、もはや考えられない。多様な人々が集い、学び、つながる場づくりが求められるなか、本学会は実に領域横断で、「サロン的な自由さ」を醸し出す。
【立場の異なる人々が「ウイン・ウイン・ウイン」となる!】
2018年に設立した文化と地域デザイン研究所は活発な活動を続けている。同研究所の定期的な活動の実績と、築きつつある人的ネットワークを活用することで、「新しいタイプ」の学会を設立したいと考えている。
◆職業研究者(大学教員)は、「興味深い地域文化デザイン人材」たちと新たに出会える。すでに所属している既存学会とは異なる、多様な人々と知り合い、刺激を受け、研究のヒントを得る。教え子の実習先、就職先、あるいは卒業論文指導などの手がかりを得ることも期待される。
◆一般社会人(公務員、財団職員、会社員ら)は、職業研究者と接することで、自らの新たな可能性に気づき、知識を更新できる。社会人同士の新たな出会いがある。
◆大学院生たちは大学の壁を越えてインターカレッジで同世代と交流できる。職業研究者や公務員、財団職員、会社員らの知己を得て素養や知識を養える。身構えずに研究成果を報告でき、自らの実績を積みげる。
このように、環境の異なる立場に人々が「ウイン・ウイン・ウイン」となる学会を実現してみたい。
運営
◆総会・例会
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年に1度、年次研究大会を開く。
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定期的に研究会(例会)を開催。文化と地域デザイン研究所が開催する研究会・講座に関して、本学会も共催・後援を行う。特定の事象に関心を有する人々が、他の事象関係者と交流できる工夫を凝らす。
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会合時にいただく資料代・カンパ費で学会資金を賄う。同時に寄付を募る努力を続ける。
◆交流する場づくり
本学会の利点の1つは、研究領域を超えて、信頼できる友人・知人をつくることである。
京都・大阪・神戸・奈良・泉州などからの交通の便が良く、訪れやすい元工場を活用することで、精神的な「壁」を取り払う。年代を超えて交流する「場」として、学会活動を活用していく。専門的な学術団体が発足すると、組織は次第に保守的になる。「内向き」に陥る。学術的純化が進み、会員の顔触れも固定化してしまう。もっと領域横断で、「サロン的な自由さ」を担保する空気感を維持するように努める。
